この会社が売っていたのは「PDFを表に変えること」ではありません。「1行も抜けていないと証明できる状態」です。同じ機能の無料ツールがあふれる中で価格が残ったのは、そこだけでした。
米国カリフォルニアの会社で、SaaS売買サイトの Acquire.com に出ていました。顧客は101〜250社、料金は月15〜90ドルの4段階、創業は2023年9月です。
普通のツールはPDFをまるごとAIに投げます。この会社は逆で、まず文字の座標から表を組み直し、AIには「この行は繰越か」「税区分はどれらしいか」の判断だけをさせ、行を増やす・減らす権限を与えていません。そのうえで残高で検算します。
会計事務所の人が一日中見ているのは自社サイトではなく、スプレッドシートです。この会社は Google スプレッドシートのアドオンと Excel のアドインとして配り、インストールは1,000件を超えています。
売主自身が「1,000件に対してレビューは数件しかない」と、まだ手を付けていない伸びしろとして書いていました。順位がレビュー数で動く売り場なので、ここは安く複利が効く場所です。
海外ツールが対応しているのは Chase や Bank of America です。元サービスが出力する QBO・OFX という形式も、日本ではまったく使われません。
母数はあります。税理士の登録者は81,696名、税理士・会計士事務所は約30,000。電子帳簿保存法の完全義務化(2024年1月)とインボイス制度で、明細を扱う手間はここ数年で明確に増えました。
国内には STREAMED、円簿の仕訳コンバーター(無料)、freee・マネーフォワードの銀行同期がすでにあります。正面から変換で戦う意味はありません。
結論はこうです。「銀行明細をCSVに変換する」はレッドオーシャン、「会計事務所の品質管理ワークフロー」はまだ空いています。
この客単価で置くと、Month 12で有料140社・MRR約136万円(年換算約1,635万円)になります。元サービスは3年でARR約780万円・101〜250社でしたから、2倍の収益を半分の顧客数でという形です。
ただし裏を返せば、この価格が通らなければ計画は崩れます。だから最初の2週間はコードを書かず、5件の事務所に「9,800円は高いと感じますか」を直接聞く。5件中3件が払うと答えなければ、価格設計を作り直すのが順番です。
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