今日のグロース研究
べつの場所でためた信用を、まったく別の商品に貸す。今いちばん強い伸ばし方
きょうの結論
ひとつの商品をひとつのやり方で伸ばす時代は終わりつつある。会社向けで得た「この人は詳しい」という評判を、まったく別のふつうの人向け商品の売上に流しこむ——きょう見つけた3社は、どれもこの形をしていた。
TOPIC 1
会社向けの道具で稼いだ「信用」を、まったく別のアプリの売上に貸す
助けた相手はお客さんではない。それでも、そこで生まれた評判がべつの商品の売上になる。
コソボに住むひとりの開発者が、21週間でつくった売上です。1つ目は会社向けのセキュリティ検査、2つ目はふつうの人向けの動画アプリ。客層はまったく違うのに、片方で得た「この人は詳しい」という評判が、もう片方の売上をつくっていました。
6,772ドル2商品あわせた毎月の売上(21週間目)
33件はじめた日のダウンロード数。売上はゼロだった
信頼の又貸し = ある場所でためた「この人は信じられる」という気持ちを、まったく別の商品を買うときの後押しに使ってもらうこと。
TOPIC 2
人間にも、AIにも見つけてもらう。入口を2本つくった会社
検索エンジン向けの記事だけでなく、AIが自分で呼び出せる部品まで最初から用意している。
「フェイスブックのDMをプログラムから触る方法」のような、探している人がはっきりしている小さな記事を、月に10本以上出しつづける。それと並行して、ClaudeのようなAIエージェントが自分でこのサービスを呼び出せる部品と、その使い方の解説まで配っています。
競合が値上げした翌日には「新しい料金はいくらか」という比較記事を出す反射神経の速さも、この地道なやり方を支えていました。
5ヶ月創業からの月数。まだ1年たっていない
2,480ドル毎月入ってくる売上(決済会社のAPIで検証済み)
36%直近30日の伸び
AIエージェント = 人が1回たのむと、あとは自分で道具を選んで作業を進めるAI。人間の代わりにサービスの「お客さん」になる。
TOPIC 3
学んだ人が、そのまま宣伝する人になる輪をつくる
生徒の投稿がそのまま宣伝になり、同時に本人の理解も深まる。ひとつの動きが二重に効く。
データを扱う技術者向けの講座です。売りは「時間制限つきの模擬面接」で、本番の前に安全に失敗できる練習の場を用意しています。ここで学んだ内容を、生徒自身がSNSに書きはじめる——その流れが、はじめから製品の設計に組みこまれていました。
58,546ドル毎月入ってくる売上(決済会社のAPIで検証済み)
919件いま払いつづけている人の数
466万ドル2023年3月からの累計売上
国内のスキル系講座は「学ぶ → 修了証をもらう」で終わるものが大半で、学んだ人を発信者に変える導線を最初から組みこんだ例はまだ少ない。
TOPIC 4
売上は「自分で言う」ものから「機械が証明する」ものへ
同じ「売上を公開する」でも、誰が数えたかが変わると、信じてもらえる度合いが変わる。
きょう出てきた数字は、どれも本人が貼ったスクリーンショットではありません。StripeやPolarといった決済のしくみに鍵でつながった外部サービスが、勝手に読んで公開しているものです。個人開発の世界は「言ったもん勝ち」から「証明できるかどうか」に移りつつあります。
そして、その検証済みの一覧に自分の実績が載っていること自体が、営業資料の代わりになりはじめています。
TOPIC 5
まだ誰も座っていない席が、2つある
紹介経由の登録が新規登録をどれだけ生んでいるか。1.0が、宣伝を足さずに増えつづける境目。
もうひとつの空席は動画です。会社向けサービスのうち、TikTokに自社で投稿しているのは全体の1%にも満たないという指摘がある一方で、フォロワー1万〜10万人の小さな発信者を起用したときの費用対効果は1ドルにつき5.78ドルという調査値が出ています。人が少ないぶん、届く範囲をまだ安く買える状態です。
1%未満TikTokに自分で投稿している会社向けサービスの割合
5.78ドル小さな発信者に1ドル使ったときに返ってくる額
動画をつくるのが重いなら、静止画を並べるスライドショー形式のほうが、教育や商品説明では最後まで見られる率が3〜4倍高いという指摘もある。