🔭 アメリカ最前線 ②
着工から23か月で建った発電所。世界3位の地熱資源を持つ国に、建てる事業者がいない
きょうの結論
今日の3つは業種がばらばらなのに、同じ形をしていた。資源も技術も需要も日本にあるのに、それを事業として回す人がいない、という形だ。もう「市場があるか」を調べる段階ではなく、「誰が最初にやるか」の段階に入っている。
TOPIC 1
地熱が「探す商売」から「掘る商売」に変わった
探すリスクを掘るコストに置き換えた。この違いが投資判断を一変させた。
23か月世界初の商用EGS発電所が建つまで
世界3位日本の地熱資源量(約2,347万kW)
2〜3%そのうち実際に使えている割合
発電所といえば十年単位の話だった。日本の地熱は調査から運転開始まで通常10〜14年かかると言われてきた。その常識が2年という数字でひっくり返された。掘削技術はシェールオイル開発で磨かれたものを転用できる。
EGS(強化地熱) = 地下の熱水を探すのではなく、熱い岩に自分で水を送り込んで熱を回収する方式。
TOPIC 2
日本で進まなかった理由は、地質ではなく制度と工期だった
地熱資源の約8割が国立公園・国定公園の内側。温泉事業者との調整は避けて通れない。
追い風もある。2024年以降のデータセンター新設ラッシュで、24時間安定して出せる電源の引き合いが強い。太陽光や風力では応えられない需要だ。FIP制度でも地熱は買取期間15年で比較的高い水準が維持されている。
TOPIC 3
部品では世界を取っているのに、自国では建てない
推定市場は約1,500億円。資源と技術と需要が揃っていて、事業者だけがいない領域は多くない。
同じ日に核融合のType One Energyが約300億円を調達し、2034年の商用プラント接続を掲げている。技術者コミュニティ側の関心も立ち上がっている。
TOPIC 4
2年に一度かならず来るお客を、電話が取れずに逃がしている
いつ声をかけるべきかが制度で決まっている。予測モデルを作る必要すらない。
新車販売拠点は約1.4〜1.5万、整備事業場は約9.1万ある。国内のベンダーは業務記録と会計を押さえているが、反響対応と予約獲得を代わりにやる層は空白のまま。日本の自動車DXは「見える化」で止まっていて、「代わりに電話を取る」ところまで来ていない。
TOPIC 5
法律が「速く消せ」と命じたのに、速く消せる道具がない
通報された投稿には個人情報が含まれる。海外のAPIに送ることをためらう事業者は少なくない。
同じ日、文書作成ソフトのLibreOfficeは「標準の構成にAI機能を当面入れない」と表明した。AI搭載が差別化だった局面から、1年で「どこまで載せないか」の競争に反転している。自治体や学校の調達仕様書に、この一行がどう書かれるかはこれから必ず論点になる。
オープンウェイト = モデルの中身(重み)が公開されていて、自分の手元で動かしたり、追加で学習させたりできる状態。