🗽 アメリカ最前線 ①
180億円・2,900品目をひとつの店先に。「道具を売る会社」をやめて当事者になる型が、規制産業で揃った
きょうの結論
医療も相続も保険も、システムを売る側ではなく、免許を取って自分が当事者になる会社に資金が集まった。当事者は原価がそのまま利益を左右するので、1回ごとの費用を記録する地味な標準づくりまで同じ日に動いている。
TOPIC 1
薬も検査も専門医も、2,900品目をひとつのカタログに並べた会社
「何が必要かを知ることと、それを受けられることは別だ」。入口そのものを作り直している。
180億円医療の店先に集まった資金(1億2,000万ドル)
82%カバーしている全米の郡の割合
81%「先延ばしにしていた受診」で使った人
作ったのは、薬を1回分ずつ小分けで届けるオンライン薬局を立ち上げてAmazonに売却した人たち。月額は取らず、保険を使った場合と現金で払う場合の両方の値段を見せる。
TOPIC 2
日本は値段では迷わない。迷うのは「どこへ行けばいいか」のほう
国民医療費は2023年度に48兆915億円。それでも入口は患者任せのまま。
混合診療は原則として認められず、紹介に対して事業者へ支払うことも禁じられている。だから日本での入り方は、人間ドック・自費検査・オンライン診療といった自費の領域から始め、医療機関には予約と案内の仕組みを利用料で売る形になる。
混合診療 = 保険がきく治療と、きかない治療を同じ日に混ぜること。日本では原則として認められていない。
TOPIC 3
信託会社に道具を売るのをやめて、自分が信託会社になる
免許を取り、責任を負い、そのうえで内側の作業を軽くする。それが今日いちばん多く見かけた形。
Verosは設立2026年・拠点サウスダコタ州で、調達額はまだ222万ドル。同じ型の先輩Axiom Trustは2026年3月に1,180万ドルを調達し、ネバダ州の規制のもとで信託会社として営業している。
TOPIC 4
日本はもっと切実。2030年に153兆円が「動かせないお金」になる
亡くなったあとの相続税だけでなく、元気なうちに託しておく仕組みの話。
2024年に亡くなった方は160万5,378人、相続税の課税割合は10.4%とついに1割を超えた。家族信託は広がってきたが、費用は50万〜100万円。しかも国内の支援は「信託を作る」までで、作ったあとの帳簿・報告・領収書の保管は家族の手作業に残っている。
家族信託 = 元気なうちに、財産の管理を家族に任せておく契約。判断能力が落ちてからでは結べない。
TOPIC 5
AIの「通話明細」を決める標準が出た。手本は電話会社
1回の実行にかかる費用が毎回変わる以上、明細がなければ値段もつけられない。
日本側の調査では、AIの利用コストを管理している400人のうち82.8%が費用の把握に課題を感じ、部署ごとの利用額を把握できているのは32.7%だけだった。平均の費用は月に約274万円。年度予算と稟議で動く会社とは、とても相性が悪い。
AUDR = Agent Usage Detail Record。AIの実行1回ごとに「誰が起こし、いくらかかったか」を残すための、誰でも使える記録の形。