アメリカ最前線 ②
「毎日はかる」「友だちを作る」「AIを箱で置く」——アメリカで始まった3つの商売、日本はまだ売り場が空っぽ
きょうの結論
体を毎日はかるセンサー・友だちを作るアプリ・会社に置くAIの箱——アメリカではもうお金が動いているのに、日本ではどれも売り場が空席のままで、先に店を開いた人が総取りできる。
TOPIC 1
血糖をはかるセンサー、アメリカでは薬局でふつうに買える
同じ「はかる」でも、アメリカは毎日の線、日本は年1回の点。この差がまるごと商売の空席。
アメリカの規制当局(FDA)が今日、血糖に加えて「ケトン」まで同時にはかれる貼るセンサーを初めて認めた。米国では病気でない人が処方せんなしでセンサーを買う市場がすでに2年動いているが、日本では健常者が買えるセンサーがゼロ。健康保険組合にお金を出させる売り方なら、日本のほうがむしろ速く広がる。
1.5兆円米国のセンサー2強の年間売上(合計)
2,000万人日本の糖尿病+予備群(成人の約5人に1人)
750億円日本で立ち上がる市場の見積もり
CGM(持続血糖測定) = 腕に貼りっぱなしにして、血糖の動きを24時間はかり続ける小さなセンサーのこと。
OTC = お医者さんの処方せんがなくても、薬局やネットでふつうに買えること。
TOPIC 2
恋愛じゃなく「友だちを作る」専用アプリが商売になった
「水曜の夜、知らない6人で夕食」を組むだけで、参加者とお店の両側から課金できる。
米国では「大人になってから友だちを作れない」問題が健康リスク(孤独=タバコ1日15本ぶん)として語られ、投資マネーが入り始めた。日本は孤独に法律まで作った国なのに、マッチングアプリ1,000億円市場はほぼ全部が恋愛用で、友だち作り用はがら空き。居酒屋文化がある日本のほうが、実は運営しやすい。
4割「孤独を感じる」と答えた日本人(国の調査)
44.3%2050年の一人暮らし世帯の割合(推計)
380億円日本で立ち上がる市場の見積もり
IRLソーシャル = In Real Life(=リアルの場)の略。ネット上ではなく、実際に会って人とつながるためのサービスのこと。
TOPIC 3
クラウドを使えない会社には、AIを「箱」ごと売ればいい
クラウドに出せない現場ほど、社内に置く「AIの箱」なら丸ごと導入できる。
今日、Perplexityが「持ち歩けるローカルAIコンピュータ」を出し、Appleが同じ日に新チップを発表。「賢いAIはクラウドになくてもいい」が一気に現実になった。日本は規則でクラウドAIを使えない病院・銀行・役所が世界一多い国。しかも「箱を買って保守契約」という買い方が大好きな市場なので、外国のSaaS企業が入って来ない間が狙い目。
3万拠点クラウドAIを使えない国内の閉じた現場(金融・医療・自治体・製造)
900億円日本で立ち上がる市場の見積もり(3案件中最大)
ローカルAI(ローカル推論) = AIをネットの向こう(クラウド)ではなく、手元の機械の中で動かすこと。データを外に送らずにすむ。
TOPIC 4
お金は「AIそのもの」より「AIの通り道」に集まり始めた
モデルの置き場・つなぎ役という「道路」にお金が集中。日本の国産AIはこの道路を持っていない。
今日はAIモデルの「置き場」であるHugging Faceに約2兆円の買収話が報じられ、StripeやGammaも流通側の会社を次々買収。AIを作る競争より「AIが通る道」を押さえる競争にお金が移っている。日本は国産AIを作りながら、配る道は全部他国のプラットフォーム頼み——このねじれが放置されている。
2兆円Hugging Face買収交渉の報道規模(約$130億)
4件今日報じられたAI流通まわりの買収・大型調達
オープンウェイト = AIの中身(学習済みの重み)を無料で公開して、誰でもダウンロードして使えるようにすること。