🔭 アメリカ最前線 ②
代理店15万店・手数料1.5兆円。YCがいま狙っているのは、FAXで回る「中間業界」でした
きょうの結論
派手な見出しはモデルの話でしたが、資金が動いていたのは「紙とPDFと電話で回っている中間業界」です。日本は、規制対応の事務が増え続けているのに、処理する人が減り続けている国です。
TOPIC 1
同じバッチから、保険代理店を作り直す会社が2社
狙いは引受依頼書の作成、証券の突合、更新時の条件比較、事故報告の処理。米国でもPDFとメールとExcelの世界です。
15万店日本の損保代理店の数
1.5兆円代理店に支払われる手数料
60万件年間の建築確認申請
サブミッション(引受依頼書) = 保険会社に「この会社を引き受けてください」と出す書類一式。作るのも突き合わせるのも、いまは人の手です。
TOPIC 2
日本は数が減ったのに、事務だけが増えた
国内のインシュアテックは少額短期の商品開発か代理店管理SaaSに寄っていて、引受・比較・更新の自動化は空白です。
大半は専業ではなく、自動車ディーラーや不動産業者、整備工場などの兼業代理店です。募集人資格の壁は、代理店を買収して内側から作り直せば回避できます。
TOPIC 3
4号特例が縮小された国に、図面を読むAIが1社もいない
米国のPermitifyは申請側のAIコパイロット。ロサンゼルスやホノルルでは審査側のAIパイロットも始まっています。
難易度は高めです。法令データの整備と特定行政庁ごとの取扱い差分の収集が重く、指定確認検査機関との提携が実質的な参入条件になります。推定TAMは約450億円です。
4号特例 = 小さな木造住宅について、構造関係の審査を省略できた仕組み。2025年4月に大幅縮小されました。
TOPIC 4
ポケモンカードの本国なのに、「板」だけが無い
YC最新バッチの Misprint は、自らを「Robinhood for Pokemon cards」と名乗っています。
ただし設計は慎重に。持分を小口化して共同保有に踏み込むと、不動産特定共同事業法や金商法の論点に入ります。実物の所有権を移しながら預託する形なら、余地は残っています。
板(いた) = 売り注文と買い注文が価格ごとに並んだ一覧。株の取引画面にあるあれです。いくらで売れるかが一目で分かります。
TOPIC 5
基幹システムを刷新せず、「入口だけを剥がす」
2024年問題はドライバー不足が話題ですが、卸・商社の事務部門も同じかそれ以上に人が採れていません。
TOPIC 6
AIが向かう先が、ソフトウェアの内側から「産業の中間層」へ移った
どれも、これまでソフトウェアが本気で手を入れてこなかった領域です。
モデル側の訴求軸も「性能」から「安く、間違えない」へ移りました。差別化はモデルでもUIでもなく、どのデータと権限に接続できるかに寄っていきます。