⚡ LAGLESS PORTAL🗽 アメリカ最前線 ①2026-09-18 (金)バックナンバー
🗽 アメリカ最前線 ①

3週間で評価額が4倍。AIが「電話をかける」「お金を動かす」を始めた日

きょうの結論

AIが見て提案するだけの存在から、自分で発信し、執行する存在へ役割を広げ始めた。日本には電話予約文化・行き場のない再エネ・新NISA後の2,000万口座という、形の違う同じ大きさの余白が残っている。

TOPIC 1

AIが電話をかけ始めたら、評価額が4倍になった

AIアシスタントInstinctの評価額(報道値) 25億ドル 8月26日 100億ドル 9月中旬(交渉中) 3週間ちょっとで4倍 この間に足したのは「電話をかける」機能。予約の取れない店、歯科のキャンセル待ち、料金交渉を代行する。 同じ時期にMetaのMuseも米国内への発信機能を追加。主要プレイヤーがほぼ横並びで発信力を手に入れた。
先週にはメールアドレスも付与され、利用者どうしのエージェントが互いに予定を調整し合う機能まで入った。
4倍3週間強での評価額の伸び(報道値)
73万MetaのMuseの初期ダウンロード数
2位Museが米アプリストアで到達した順位
TOPIC 2

日本のほうが、電話でしか受け付けない窓口が多い

押し合っている2つの力 電話でしか受け付けない窓口 人気店の予約・歯科や美容院の予約変更 自治体窓口・ケーブルテレビの解約 まだ数多く残っている かけたくない/かけられない人 若い世代の「電話が怖い」という感覚 増え続ける独居高齢者世帯 どちらも増える方向 空白|消費者個人の代わりに「発信して」予約や交渉をまとめる相手 国内の電話代行は「企業が受ける電話」の代行。発信側は手つかず。推定TAM 約400億円 最大の論点は、自動発信が特殊詐欺と見分けがつきにくいこと 裏返せば、本人確認・通話録音・身元開示を作り込むこと自体が、そのまま差別化になる。
参入難易度は★3。電気通信事業法上の位置づけを整理し、既存の電話代行事業者と組むのが現実的な近道。
TOPIC 3

Google・NVIDIA・Anthropicが、探しているのは「空いている電線」

AI Energy Management Alliance(AEMA)がやろうとしていること これまでの発想 足りないなら発電所を建てる → 時間もお金も膨大にかかる 今回の発想 混んだ瞬間だけ計算を減らして譲る → 既にある電線の隙間を使う こうして捻出を狙う枠が 100ギガワット 参加は Google・NVIDIA・Anthropic に加え、AESやNational Gridなど大手電力。中核はEmerald AI。 競合しうる三者が同じ連合に名を連ねた。電力がそれだけ切実になった、ということ
ピーク時の系統利用を90%に抑えるだけで米国全体で76ギガワット分の容量が生まれる、という試算もある。

日本はここで、ねじれた状態を抱えています。九州では太陽光の出力抑制が常態化している一方、北海道・千葉・大阪・九州でAI向けデータセンターの新設が同時進行。作りすぎている電力と足りない電力が、同じ国の中に同時にあります。

デマンドレスポンス = 電気が足りない時間帯に、大口の利用者が使う量をわざと減らして、その見返りにお金を受け取る仕組み。日本では「ネガワット取引」として2017年から制度がある。
TOPIC 4

投票1,147票 対 11票。話すだけで売買するAIが選ばれた

同じ日に公開されたプロダクトへの投票数 Conviction 1,147票 同日2位 11票 やっていること 自分の言葉で条件を話す 過去データで検証 見張って自動で売買 これまで機関投資家と専門家だけのものだったアルゴリズム取引を、個人に開放しようという試み。
票差は人気投票を超えて、市場が何を求めているかのシグナルとして読む価値がある。

日本は2024年の新NISAをきっかけに個人の口座数が2,000万を超えました。ところが主要ネット証券が出しているのは、条件で絞り込むツールか、おまかせ運用のどちらかです。「自分の言葉で書いた戦略を、AIが常時見張って執行する」型の製品は、まだありません。

業として自動売買を提供するには金融商品取引法上の登録が要ります。推定TAMは約200億円。設計の一歩目は「投資助言に当たらない形をどう作るか」になります。

TOPIC 5

横で起きていたこと:補聴器、統計、そして創作者の市場

補聴器 | 5社で市場の97%という寡占に、AIチップで挑む会社が255億円を調達 音を全部大きくするのではなく、重要な音だけを聞き取りやすくする方式 → 日本は世界最高齢なのに、補聴器の使用率は約14%で主要国の最低水準 統計 | 主要6モデルに13万件超を質問して、正確な回答は平均21.2%だけ 約6割は使える数値すら返さず、2日後に同じ質問をして一致したのは半数程度 → 日本のe-StatやRESASも、AIが正確に参照できる設計にはなっていない 創作者 | フォロワー数を一切問わない市場に150万人が登録 閲覧数に応じて報酬が支払われる。上位層の年収は6桁ドルに達する → 日本はフォロワー数依存・代理店経由が主流で、民主化された市場はまだない
3つとも「アメリカでは構造が動き始めたのに、日本では同じ構造が手つかずのまま」という形をしている。

共通しているのは、AIが単に整理したり提案したりする存在から、実際に発信し執行する存在へ役割を広げていることです。そして、その変化が当たる先の歪みは、日本にもう存在しています。

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