派手なローンチは効かなかった。効いたのは、比較ページを地道に作りつづけることと、値上げと、AIには真似できない「面倒くさい手続き」を自分の商売の中心に置くことだった。
PostFastというSNS投稿予約ツールを、船の航海士を目指していた開発者ペタル・ゲオルギエフさんがひとりで作りました。市場調査はしていません。自分が使いたいツールが「高すぎるか、安いけど機能が貧弱か」しかなかったから、というだけの理由です。
ローンチのときは思いつく限りのことを一通り試して、そのほとんどが空振りでした。半年かけて黒字になり、いまは月の売上で5,400ユーロほど。ただしこれは本人の自己申告で、第三者が確かめた数字ではありません。
安さで勝負するのが染みついていると、この逆転はなかなか受け入れづらいところです。でも、値段そのものが「これは信用していい商品ですよ」という合図として働いていた、というのがペタルさんの発見でした。
おもしろいのは、彼がこの面倒さを「わざわざ選んだ」ように見えることです。時間のかかる審査や、大量のデータ処理は、誰もやりたがりません。だからこそ、後から来た人が同じ場所に立つまでに時間がかかる。
最近は Social Inbox という新機能を出して、ChatGPTやClaude、n8nのような自動化ツールから、SNSのコメントやDMを直接あつかえるようにしています。AIエージェントに「使われる側」の設計を、早い段階から仕込んでいるわけです。
作ったのは、SnapでAI部門の責任者だったアレックス・マシュラボフ氏。急上昇スタートアップを追うExploding Topicsの2026年9月の集計では、検索の伸び率が8400%と出ています。ただしこれは同社の推定アルゴリズムによる値で、Higgsfield自身が公表した経営数字ではありません。
もうひとつ効いているのが、「いまバズっている演出を見つける → AIキャラの参照画像を用意する → 同じ動きを再現する」という手順そのものを、機能として組み込んでいることです。使う人は、演出をゼロから考えなくていい。
日本では、顔出しや撮影がハードルになりやすい業種——美容室、不動産の内覧、飲食店の紹介など——にまだ手つかずの余地があります。ただしAI生成であることの開示や、実在人物を模した表現については、各プラットフォームの規約と広告表示のルールを踏まえる必要があります。
この記事の価値は、そのあとの率直さにあります。上位に入ればニュースレターに載るはずだと思っていた。でも載らなかった。掲載するかどうかは、カテゴリやストーリー性、運営側の判断によるところが大きいのだそうです。
もうひとつ、あまり語られない裏事情も書いてありました。ローンチした瞬間から、票やコメントを代行しますという業者の営業メッセージが大量に届く、というものです。
教訓は明快です。ランキングを取ること自体を目的にせず、「自分たちの客は、そもそもここにいるのか」を確かめる手段として位置づけ直すこと。これは今日からできます。
並べてみると、同じ話をしていました。派手な施策への過信をやめること。PostFastはバズが効かなかったと言い、Oxlo.aiは順位が事業成果につながらなかったと言っています。
そして、真似しにくい面倒さを選ぶこと。AIで表面がいくらでもコピーできるようになった今だからこそ、審査に1か月かかるとか、大量のデータをさばくとか、そういう地味な部分に事業の中心を置く判断の価値が上がっています。
明日からできる小さな一歩を挙げるなら、いまの値段が「安すぎて不信を招いていないか」を一度だけ点検してみることです。小さくテストして、反応を見ながら決めれば十分です。
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