⚡ LAGLESS PORTAL📈 今日のグロース研究2026-09-04 (金)バックナンバー
今日のグロース研究

「お祭り騒ぎは、全部やった。何も効かなかった」

きょうの結論

派手なローンチは効かなかった。効いたのは、比較ページを地道に作りつづけることと、値上げと、AIには真似できない「面倒くさい手続き」を自分の商売の中心に置くことだった。

TOPIC 1

4つ試して、届いたのは1本だけだった

お金をはらう客 半年で黒字・MRR 5,400ユーロ ディレクトリに載せる Product Hunt に出す つくる過程をSNSで発信 バズらせようとする 届かない 比較ページ・代替品ページ + 被リンクを地道に集める 半年かけて届く
ペタルさん本人の言葉。「効いたのはSEOだけだった」。数字は自己申告値。

PostFastというSNS投稿予約ツールを、船の航海士を目指していた開発者ペタル・ゲオルギエフさんがひとりで作りました。市場調査はしていません。自分が使いたいツールが「高すぎるか、安いけど機能が貧弱か」しかなかったから、というだけの理由です。

ローンチのときは思いつく限りのことを一通り試して、そのほとんどが空振りでした。半年かけて黒字になり、いまは月の売上で5,400ユーロほど。ただしこれは本人の自己申告で、第三者が確かめた数字ではありません。

被リンク = よその記事やページから、自分のページに向けて貼られたリンク。数と質が集まるほど検索で上に出やすくなる。時間はかかるが、貯金のように積み上がる。
TOPIC 2

安すぎる値段は、「不安」として伝わっていた

前 安い値段 検索から来た「冷たい客」 安すぎて 「これ大丈夫なの?」 迷う 売れない 後 値上げした 同じ商品のまま 品質の合図に 「ちゃんとしてそう」 選ばれる 売上が増え 客の質も上がる
検索から来た人は、その商品をまだ何も知らない。値段だけが唯一の手がかりになる。

安さで勝負するのが染みついていると、この逆転はなかなか受け入れづらいところです。でも、値段そのものが「これは信用していい商品ですよ」という合図として働いていた、というのがペタルさんの発見でした。

TOPIC 3

AIに真似できないのは「20〜30日かかる審査」だった

見た目のダッシュボード ボタン・画面・操作の流れ AIで数時間で真似できる この下にあるのは 下にある、地味で面倒なもの ・SNS各社のAPI審査に 20〜30日。落ちればさらに待つ ・動画を各SNSの仕様に合わせる処理(FFMPEG) ・大量の処理をさばくキュー基盤(Kafka → BullMQ) ・問い合わせには本人が数時間以内に必ず一報を返す ここは真似できない
「かんたんな指示をAIに投げれば再現できるものには、堀がない」——ペタルさんの言葉。

おもしろいのは、彼がこの面倒さを「わざわざ選んだ」ように見えることです。時間のかかる審査や、大量のデータ処理は、誰もやりたがりません。だからこそ、後から来た人が同じ場所に立つまでに時間がかかる。

最近は Social Inbox という新機能を出して、ChatGPTやClaude、n8nのような自動化ツールから、SNSのコメントやDMを直接あつかえるようにしています。AIエージェントに「使われる側」の設計を、早い段階から仕込んでいるわけです。

堀(モート) = お城のまわりの堀のように、後から来た競合が簡単には越えられない壁のこと。特許でも、規模でも、面倒な手続きでも、越えにくければ堀になる。
TOPIC 4

疲れないから、毎日投稿できる

人が投稿する 体調・気分・ネタ切れで飛ぶ AIキャラが投稿する 毎日そろう。1日10種類の新しい型が足される 14日間 アルゴリズムは「続くこと」を高く見る
Higgsfieldは、カメラもモデルも撮影スタジオも使わずに、同じ見た目のキャラを毎日投稿し続けられるようにした。

作ったのは、SnapでAI部門の責任者だったアレックス・マシュラボフ氏。急上昇スタートアップを追うExploding Topicsの2026年9月の集計では、検索の伸び率が8400%と出ています。ただしこれは同社の推定アルゴリズムによる値で、Higgsfield自身が公表した経営数字ではありません。

もうひとつ効いているのが、「いまバズっている演出を見つける → AIキャラの参照画像を用意する → 同じ動きを再現する」という手順そのものを、機能として組み込んでいることです。使う人は、演出をゼロから考えなくていい。

日本では、顔出しや撮影がハードルになりやすい業種——美容室、不動産の内覧、飲食店の紹介など——にまだ手つかずの余地があります。ただしAI生成であることの開示や、実在人物を模した表現については、各プラットフォームの規約と広告表示のルールを踏まえる必要があります。

TOPIC 5

2位を取った。でも、客は来なかった

下ごしらえを全部 紹介者・連続投稿・事前集客 ねらい通り その日の2位 4時間だけ1位 公式ニュースレター 載らなかった 申し込み・成約 期待に遠く届かず 1票=1ポイントではない。強いアカウントの票ほど重い。AI枠の1位には 800〜1,200票が要る
「手術は成功したが、患者は助からなかった」——Oxlo.aiチーム自身の振り返り。

この記事の価値は、そのあとの率直さにあります。上位に入ればニュースレターに載るはずだと思っていた。でも載らなかった。掲載するかどうかは、カテゴリやストーリー性、運営側の判断によるところが大きいのだそうです。

もうひとつ、あまり語られない裏事情も書いてありました。ローンチした瞬間から、票やコメントを代行しますという業者の営業メッセージが大量に届く、というものです。

教訓は明快です。ランキングを取ること自体を目的にせず、「自分たちの客は、そもそもここにいるのか」を確かめる手段として位置づけ直すこと。これは今日からできます。

TOPIC 6

3つに共通していたこと

並べてみると、同じ話をしていました。派手な施策への過信をやめること。PostFastはバズが効かなかったと言い、Oxlo.aiは順位が事業成果につながらなかったと言っています。

そして、真似しにくい面倒さを選ぶこと。AIで表面がいくらでもコピーできるようになった今だからこそ、審査に1か月かかるとか、大量のデータをさばくとか、そういう地味な部分に事業の中心を置く判断の価値が上がっています。

明日からできる小さな一歩を挙げるなら、いまの値段が「安すぎて不信を招いていないか」を一度だけ点検してみることです。小さくテストして、反応を見ながら決めれば十分です。

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