💡 今日の事業アイデア
利益率83%・顧客はたった1社。子どもの送迎を「記録するだけ」のSaaSを、日本でやるなら
きょうの結論
送迎そのものは代行せず、「誰が・いつ・確認したか」の記録だけを売ると、利益率は83%になります。日本には送迎を毎日回す事業所が3万以上あるのに、その記録はいまも紙とExcelのままです。
TOPIC 1
顧客は1社だけ。なのに年2,000万円が入ってくる仕組み
自社ブランドで広く売るのではなく、送迎を請け負う会社に「その会社の看板」で使わせている。だから顧客1社でも年2,000万円になる。
83.0%直近1年の利益率(公開値)
2,000万円年間の売上(ARR・顧客1社)
0%年成長率。伸びてはいない
海外の会社売買サイト Acquire.com に出ていた1件です。やっているのは、子どもの送迎のルートを組み、GPSで追い、保護者に知らせるだけ。2025年1月に始めて、売却希望価格は約5,300万円(利益の2.0倍)でした。
ARR = 1年ぶんに直した売上。月の売上×12のこと。/ホワイトラベル = 中身は自分が作り、看板だけ相手の会社の名前にして売る形。
TOPIC 2
「送る」のではなく「記録する」。だから原価が増えない
人が動く部分を持たないので、売上が伸びても原価がほとんど増えない。これが利益率83%の正体。
加えて、乗り換えがほぼ起きません。運転手全員のアプリ、保護者全員の通知、監査用の記録が乗ってしまうと、他社に移ることは事業を止めるリスクと同じ意味になります。年成長0%でも利益率83%を保てているのは、この定着の強さのおかげです。
ただし同じ構造が最大の弱点にもなっています。顧客1社への集中です。売主自身がこのリスクを書いていて、売却倍率が控えめな2.0倍にとどまっているのも、おそらくそのためです。
TOPIC 3
日本では、規制が先に需要を作ってくれている
「便利だから買う」ではなく「やらないと事業が止まる」。だから比較される前に予算が付く。
母数は公的な数字で確認できます。放課後等デイサービスは20,307事業所、児童発達支援は10,911事業所(2023年4月・厚生労働省の公開値)。さらに保育所・幼稚園・認定こども園などで送迎バスを運行しているのは10,787施設・22,842台です。
放課後等デイサービス = 障害のある子が学校のあとに通う施設。送迎が日常業務で、その記録がそのまま国への請求根拠になる。
TOPIC 4
国内4社を並べると、空いている席がはっきり見える
4社ともそれぞれ強いが、「車両側の証跡」という右上には誰も座っていない。
TOPIC 5
入力は1回、出口は4つ。これが提供価値のすべて
同じ1回の入力を4つの出口に同時変換する。現場が入力を1つ増やしたがらないからこそ、出口の数で価値を作る。
MVPは3週間で組めます。ルート最適化を自前で作らないこと(1台10〜20件ならGoogle Routes APIの最適化オプションで足りる)と、置き去り防止装置というハードに手を出さないこと。この2つを守れば入ります。
工数を食うのは、むしろオフライン同期と帳票です。トンネルや地下駐車場で電波が切れるのは日常なので、乗降タップは端末内に書いて復帰時に同期する設計が欠かせません。ここで手を抜くと現場は確実に紙に戻ります。
TOPIC 6
正直な話。粗利は83%に届くが、営業利益は64%まで落ちる
元サービスが月次83%を出せたのは、顧客が1社でサポートがほぼ要らなかったから。同じ数字を日本版で期待するのは誤り。
料金は月9,800円・24,800円・128,000円〜の3段。主力の24,800円は「記録不備で減算を食らうより安い」と説明できる価格です。24か月で131件(母数3万事業所の0.42%)に届けば、月の売上は約355万円になります(推定値)。
そして元サービスの弱点は、そのまま設計のヒントになります。販売の順番を逆にすること。元サービスは大口のホワイトラベルから入って顧客1社依存になりました。日本版は小口の直販で分母を作ってから、ホワイトラベルを重ねます。
CS(カスタマーサクセス) = 導入した後のお客さんに寄り添って使い続けてもらう担当。人がやる仕事なので、契約が増えるほど人件費も増える。