🔭 アメリカ最前線 ②
7か月で評価額2,700億円。推定TAM 600+400+900億円の3市場に、日本は専業が1社もいない
きょうの結論
資金の流れが「AIそのものを作る競争」からAIが社会に入り込んだ後に必要になるものへ移った。引用される技術・事故を引き受ける保険・機器を守るソフト。3つとも日本のほうが需要が大きいのに、専業がいない。
TOPIC 1
7か月で値札が倍近くになった、名前すら新しい市場
やっているのは、ChatGPTやAI検索の回答の中に自社がどう登場するかを計測し、改善する仕事。
7か月前回調達からの間隔
2,700億円今回ついた評価額
3倍直近6か月の売上の伸び
AEO(回答エンジン最適化) = AIが返す1本の回答文の中に、自社が「事実」として織り込まれるかを競う仕事。検索順位を上げるSEOとは、そもそも勝負の場所が違う。
TOPIC 2
10位でもクリックはあった。回答に出なければ、ゼロしかない
順位ではなく、引用されるかどうか。この違いは、思っているよりずっと大きい。
TOPIC 3
日本には、英語圏に無い事情が2つある
既存のSEO事業者はKPIの前提を変えることに組織的な抵抗があり、動きが遅い。そこが新規参入側の余地になる。
半日でできる検証があります。自社か想定顧客のブランド名について、AIチャット3種類にまったく同じ10問を投げ、回答の中に自社と競合が何回・どの出典を根拠に登場したかを手で数える。これを3社分やれば、そのまま初回営業に持っていける「AI引用率シート」になります。
TOPIC 4
AIの事故は誰が払うのか。先に動いたのは保険だった
AIの安全性を研究テーマとしてではなく、保険の引受リスクとして価格を付けにいっている。
順番はこうです。エージェントを第三者監査する → 結果に基づいて認証を出す → そこで生じうる賠償責任を保険として引き受ける。監査結果が、そのまま引受の基準になります。
TOPIC 5
日本では、保険が無いことが導入を止めている
認証・評価の側にスタートアップが入り、損保と組んで商品化する。これが最短の経路になる。推定TAMは400億円前後。
こちらも確認は簡単です。国内損保のサイバー保険とIT業務賠償責任保険の約款PDFを取り、「AI」「自動」「アルゴリズム」で全文検索をかける。エージェント起因の損害が明示的に扱われていないことが確認できれば、それがそのまま一次証拠になります。
TOPIC 6
ロボットを一番作っている国に、ロボットを守る会社がない
イタリアの組込みセキュリティ企業が405億円を調達し、評価額2,550億円に到達した。前年比400%成長で、売上の半分がアジア太平洋。
海外ベンダーのツールはありますが、資料は英語で、日本のファームウェア設計の現場の作法に合わないことも多い。日本語で現場に入り込み、部品表の生成から適合証跡の作成まで代行できる事業者がいれば、条件はかなり揃っています。EUの規制と国内制度の重複部分を洗い出せば、「一度の対応で両方を満たす」という売りやすい支援メニューが設計できます。
ソフトウェア部品表(SBOM) = その機器の中で、どの部品がどのバージョンで動いているかの一覧。食品の原材料表示の、ソフトウェア版。