⚡ LAGLESS PORTAL🔭 アメリカ最前線 ②2026-09-14 (月)バックナンバー
🔭 アメリカ最前線 ②

合計2,350億円。中古車・非公開株・相続——制度が需要を先に作っている、日本にまだない3つの市場

きょうの結論

車の中に前の持ち主が残ったまま年350万台が流通し、上場しない会社の社員は報われる手段を持たず、年160万件の相続がいまも紙と印鑑で処理されている。派手さはないが、締切のほうから毎年やってくる市場。

TOPIC 1

スマホは初期化するのに、車は誰も初期化していない

手放すときにデータを消すか スマートフォン 誰もが初期化する パソコン 消去サービスが普及 車 制度も商習慣も無い 中古車と一緒に移動していくもの ・前の持ち主の電話帳 ・自宅の位置情報 ・よく行く場所の履歴 ・ETCの利用記録 日本の中古車流通は年間およそ350万台。1台900円の消去と証明で、それだけで約32億円。
米国ではこの「引き渡し時の消去」を証明書付きで代行するサービスが、ディーラー向けSaaSとして成立している。
620億円車のデータ消去・同意管理の推定市場
780億円非公開株の流動性まわりの推定市場
950億円相続手続き支援の推定市場

日本でこれが刺さる理由は、技術ではなくコンプライアンスです。中古車販売大手の体制が厳しい目にさらされてきた分、「きちんとやっている証拠を残す」需要が高まっています。検査項目表に一行加えるだけで、全車両に発生する業務になります。

TOPIC 2

怒りが規制になり、規制が市場になる——その速さ

米国 報道される 州当局が動く 登録簿ができる 削除代行が商売になる 日本 誰に渡っているか一覧する手段が無い =怒る材料すら可視化されていない段階 日本の保有自動車は約8,200万台。新車はほぼコネクテッド前提で設計されている。
2022年の改正で「個人関連情報」の提供には確認義務が入ったが、それは提供する側の手続き。消費者が追跡・削除する市場は作られていない。
TOPIC 3

上場しないまま巨大化する。すると社員が報われなくなる

米国で回っている循環 上場せずに巨大化する 株を売買したい人が溜まる 年1,000億ドルの流通市場が吸収 日本:東証がグロース市場の維持基準を厳格化 → 小さく早く上場するルートが塞がる 非公開のまま10年在籍した社員が現金化する手段は、まだM&AかIPOしかない
上場が遠い会社ほど優秀な人が抜けていく、という逆向きのインセンティブが働く。個社ではなく市場設計の問題。

空白は3つです。①セカンダリー取引の仲介 ②権利行使のための資金をノンリコースで貸す金融 ③第三者による継続的な評価額の算定(日本版409A)。金商法の登録が前提なので参入難易度は星4つ。片手間ではできませんが、だからこそ先に組んだ者の優位が長く続きます。

セカンダリー市場 = 上場していない会社の株を、社員や初期投資家が途中で売り買いできる場所。ここが無いと、会社が売れるか上場するまで誰も現金化できない。
TOPIC 4

Miroは92%オフ、Harveyは9か月で1.4倍。二極化がここまで来た

同じ週に起きたこと(評価額) Miro(2021年末) 175億$ Miro(買収額) 13.6億$(92%オフ) Harvey(9か月前) 110億$ Harvey(いま) 155億$ 値下がりしたソフトウェア企業を買い取って現金化する専業のバイヤーが、米国にはいて日本にはいない。
日本ではVCが償却するか、創業者が抱え続けるかの二択になっている。
TOPIC 5

年160万件の相続。その9割は、税理士にも頼まれていない

日本の相続(年間) 死亡数 約160万人(2040年に向けてまだ増える) 9% 約9割は「税理士にも頼まない相続」 遺族が自力で金融機関を一行ずつ回り、戸籍謄本を取り直し、窓口ごとに違う書式を埋めている 摩擦は3つ ①書類(法定相続情報一覧図が使われていない) ②時間(10年放置で預金は移管) ③デジタル遺品
いちばん重い工程は分配でも税務でもなく、「何があるか分からない」こと。そこを標準化できれば後は自動化の射程に入る。
TOPIC 6

相続登記の義務化で、締切が毎年自動的にやってくる

2024年4月 相続登記の義務化 3年以内に申請 2026年〜 施行時点の相続分が期限を迎える 10万円以下の過料 以後 毎年 締切が自動発生 制度上の締切が、これから毎年自動で発生する市場。事業として、かなり珍しい性質。
司法書士と行政書士はあわせて約7万人。単価の低い一般的な相続を全件さばききれてはいない。

ただし設計には注意が要ります。弁護士法72条や司法書士法の業務範囲に触れないよう、「手続きの代行」ではなく「情報の整理と士業へのマッチング」に切り分けることが前提です。入口を消費者側に置くか金融機関側に置くかで、事業の形はまったく変わります。

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