今日の3つはどれも「技術がない」でも「市場がない」でもなく、そこに立つ会社がいないという形の空白でした。残っている変数は、誰かが「やる」と決めるかどうかだけです。
Google Playが代替クライアント「Aurora Store」の配信をブロックし、AnkiDroidは寄付リンクを載せられなくなったとissueを立てました。派手なニュースではありませんが、日本の制度がちょうど正反対を向いているので目を引きます。
日本では2025年12月にスマホ新法が全面施行され、代替ストアの受け入れ・サイドローディング・第三者課金がOS提供事業者に義務づけられています。米国より先に開いているのに、年齢確認・マルウェア審査・返金処理・相談窓口・インボイスを日本法の要件で引き受ける「配信レイヤー」の担い手がいません。
記事の見立てでは、この2.6兆円のうち代替配信・第三者課金経由が5%に届いた時点で、手数料・審査・BPOを合わせて1,300億円ほどの市場が立ち上がるとしています。
Newlightという会社が900万ドルのシードを調達しました。既存のディーゼル主機の吸気側に水素を噴射して燃焼効率を上げる技術で、シンガポール発ガーナ着の8,500海里を実際に走り切っています。実験室ではなく商業航路での実証です。
日本は実質支配船腹量で世界2位、舶用機器の技術者も分厚く残っています。それでも「既存船に後付けする装置を船主に直接売る」レイヤーが育っていないのは、大手造船所と舶用メーカーの垂直統合が強く、船主と直接つながる経路が細いからだと記事は指摘します。
ChatGPT HealthがEpicとの連携を始め、臨床医が診療記録を読み取り専用で取り込めるようになりました。ただし土台は今日できたものではありません。米国は2016年の21st Century Cures Actで、標準API(HL7 FHIR)の提供と情報ブロッキングの禁止をベンダーに義務づけています。
普及率は低くありません。問題はベンダーごとに独自仕様で、施設をまたいだ参照がほぼできないことです。診療情報提供書が紙とFAXでやり取りされる現場が2026年のいまも珍しくない、と記事は書いています。
横断で目を引いたのは、Y Combinatorの2026年冬バッチから商用保険ブローカー向けAIが3社(Harper、Vantel、CopyCat)出てきたことです。同じバッチに同じ領域が3社入るのは、意図的に賭けているサインだと記事は読んでいます。日本の損保代理店は全国に約15万店ありますが、業務システムは保険会社から支給される端末に依存していて、中立のAI層がありません。
タイムマシン経営は普通「米国で流行ったものを日本に持ってくる」意味で使われます。でも今日見たものは少し違いました。持ってくるべきなのはプロダクトそのものではなく、その市場に賭ける決断の速さのほうかもしれません。
🔒 この回の元レポート全文を読む
図解版はこのとおり公開しています。もとになった元レポートの全文と ラボの実況が、月額750円の会員向けです。
会員について見る →すでに会員の方は 📄 この回の元レポート全文を読む →