⚡ LAGLESS PORTAL💡 今日の事業アイデア2026-09-21 (月)バックナンバー
💡 今日の事業アイデア

利益率83.8%・広告費ゼロ。「この虫刺され、病院に行くべき?」に答えるだけのアプリが、日本にだけ無い

きょうの結論

売っているのは虫の名前ではなく、「様子見か、受診か」という判断です。日本には足せるものが6つあるので、そのまま輸入するのではなく作り直す案件です。

TOPIC 1

Swiftだけ、ひとりだけ、広告ゼロ。それで年780万円

直近12か月(TTM)の売上の行き先 売上 51,700ドル(約776万円) 残った利益 43,300ドル 経費 16% ✕ 広告を打たない  ✕ 人を雇わない  ✕ 自前のAIモデルを作らない ○ 出ていくのは 画像判定のAPI代 / App Store手数料 / サーバー代 だけ 利益率83.8%は、才能ではなく「買わなかったもの」の一覧から出てくる数字
技術スタックは Swift のみ。個人1名、創業から1年3か月での数字です。
83.8%直近12か月の利益率(公開値)
37,500DL累計ダウンロード(公開値)
1.8倍利益に対する売却希望額

海外のM&Aマーケットプレイスに出ていた、英国の個人開発者がひとりで作った「虫刺され痕をAIで判定して、症状の経過を記録するiOSアプリ」です。2025年6月に作られ、先月の売上は約4,300ドル。有料ユーザーは500〜999人で、ひとりあたり月900円前後です。

年間成長率は0%と書かれています。ただし売り手が挙げた「成長の余地」の欄には、SNS、新機能、値上げ、コンバージョン改善、SEO、コンテンツと並んでいました。やっていないことしか書かれていないのです。

TOPIC 2

見ているのは「虫」ではなく「刺され痕」。ここが全部の分かれ目

困る瞬間は、虫を見た瞬間ではない 既存アプリ:虫を撮る 「これは何という虫ですか」 虫がまだ目の前にいる前提 → そんな場面はほとんど来ない この案件:刺され痕を撮る 虫はとっくにいない。夜22時 腕に赤い跡だけが残っている → 毎年、誰にでも来る場面 そのとき頭にあるのは、たったひとつの問いだけ 「これ、病院に行ったほうがいいのかな」
虫の同定は目的ではなく、この問いに答えるための手段にすぎない。

売り手自身が競合欄にこう書いていました。「他の虫刺されスキャナーアプリ(あまり多くない)」。英語圏でもこの領域は薄いということです。皮膚疾患の汎用AIも昆虫図鑑アプリも山ほどあるのに、刺され痕に特化したものは少ないのです。

TOPIC 3

日本の虫は、英語圏の虫とまったく違う

英語圏のアプリが知っている虫 蚊 ノミ トコジラミ クモ ダニ 日本で人が刺されて困る虫(ここから先を、英語圏のアプリは知らない) マダニ チャドクガ ブユ(ブヨ) ツツガムシ ムカデ イエダニ スズメバチ クラゲ セアカゴケグモ ヒアリ 跡の出かたも虫ごとに違う。トコジラミは線状に並び、ブユは足首で翌日に強く腫れ、 チャドクガは触っていなくても風で飛んだ毒針毛で広く発疹が出る。 この「日本の臨床で当たり前の知識」を構造化できるかが、そのまま精度の差になる
知らないものは判定できない。辞書の中身が、そのまま参入障壁になる領域。
6倍都内のトコジラミ相談件数(2007年63件→2022年405件)
135人2025年のSFTS患者数。報告開始以来の最多
20人前後ハチ刺されによる年間死亡者数

「虫刺され」は夏の不快な出来事ではなく、年に何十人かが亡くなり、相談件数が15年で6倍に増えている領域です。マダニが媒介するSFTSは致死率10〜30%とされ、報告地域が西日本から北海道・関東・中部へ広がっています。それでも多くの人は、夜中にスマホで画像検索して、自分の腕と見比べて不安になっています。

SFTS = 重症熱性血小板減少症候群。マダニに咬まれて感染する病気で、熱が出て血が止まりにくくなります。刺されてから2週間以内の発熱が危険サインです。
TOPIC 4

3つが交差する場所に、国産サービスがいない

近いことをやっている国内の4つ。どれも少しずつ違う場所にいる 虫みっけ! 判定するのは虫の体 駆除への送客が目的 Picture Insect 昆虫の図鑑アプリ 医療には踏み込まない ユビー テキスト問診型 画像を使わない 汎用の皮膚AI 海外製で対象が広い 日本の虫相を知らない 誰も立っていない交差点 刺され痕を見る 虫の体ではなく、跡 × 日本の虫相を知る 初期30種の辞書 × 医師に渡せる記録 受診サマリーPDF 1枚 なお、英語圏の同型アプリのひとつは、すでに日本語のランディングページを持っていた。 空白が残っている時間は、たぶん無限ではない
競合がいないのではなく、3つを同時に満たすものがいない、という形の空白。
TOPIC 5

面倒な規制とLINEが、そのまま堀になる

利用者の動き:30秒で「様子見か、受診か」まで届く ① 撮る 入力は3タップ以内 ② 照合する 候補3件+確信度 ③ 判断を助ける 赤・黄・緑の3段階 ④ 記録する PDFを1枚出す 危険サインは、AI判定より「手前」で拾う 発熱/呼吸苦/広い範囲の腫れ/全身の蕁麻疹/マダニが咬みついたまま/刺されて2週間以内の発熱 → ルールベースが先に拾って、全画面で受診・救急へ。この表示は無料ユーザーにも無制限で出す 医師法17条と薬機法があるので、断定はしない。出すのは可能性の情報と受診の目安だけ。 元サービスはiOSのみだった。日本ならLINEミニアプリで、写真を送るだけにできる。 規制が厳しい市場は、入りにくい代わりに、入ってしまえば守りやすい
「診断しない」を設計の中心に置くと、面倒さがそのまま海外勢への壁になる。

日本版に足せるものを数えると6つありました。日本固有の虫相、規制対応、LINE導線、受診サマリー、労災文脈のB2B、公的統計と連動したアラートです。翻訳して並べるだけなら海外勢に勝てませんが、6つ足せるなら話は別です。

LINEミニアプリ = アプリをダウンロードせず、LINEの中でそのまま動く小さなサービス。友だち追加して写真を送るだけで使えるので、保護者や高齢者でも脱落しにくい。
TOPIC 6

正直に書くと、83.8%は日本では再現できない

同じモデルでも、日本版の利益率はこう落ちる 元サービス 83.8% 広告ゼロ・監修なし・iOSのみ・個人1名 日本版・粗利 62.3% ← 皮膚科医の監修 月10万円を積む 日本版・営業利益 49.0% ← 広告・販促 月15万円 料金は 無料(月3回)/ライト月480円(年3,800円)/ファミリー月980円/B2B施設 月9,800円〜。 12か月目の想定はMAU 45,000・有料1,440人・B2B 15社で、合計MRR 約113万円(いずれも推定)。 この差を先に知っておくことが、始めたあとに折れないための準備になる
海外の高い利益率をそのまま事業計画に書き写すと、最初に直面するのがこの差。

虫刺されは5〜9月に極端に集中するので、年額プランを主軸に置き、冬はイエダニ・トコジラミと乾燥性湿疹の見分けにテーマを切り替え、通年契約のB2B施設プランで下支えする——という設計になります。

今日からできる一歩は、開発ではありません。自分の周りの5人に「虫に刺されたとき、何を検索した?」と聞いてみる。「虫の名前」と答える人と「病院に行くべきか」と答える人の比率を数えるだけです。後者が3分の2を超えるなら、同定精度より受診目安の設計に投資すべきだという裏づけになります。

日本版の料金・ユーザー数・MRR・利益率はすべて記事側の推定値であり、実績ではありません。また、これは医学的な助言ではありません。事業化にあたっては医師法・薬機法まわりの専門家の確認が必須です。

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