🔭 アメリカ最前線 ②
評価額6,000億円の「受付AI」。1,900万戸を管理する日本に、それを自動で回す会社がない
きょうの結論
きょう見つけた3つは、どれも「制度や下地は整っているのに、そこに乗せる商品を誰も作っていない」領域だった。賃貸の受付AI、AIの回答に自社を載せる仕事(AEO/GEO)、家庭の電池を束ねて売る電力会社。技術の突破を待つ話ではない。誰が最初に金額で語り始めるか、それだけの違いだ。
TOPIC 1
値段が付いたのは「便利なツール」ではなく「置き換わる仕事」
棒の長さが値段。周辺に足すか、職種を取るかで桁が変わる。
6,000億円受付AIの評価額(1年で倍)
1,900万戸日本の賃貸住宅ストック
3万社それを管理している会社の数
TAM = その事業が理屈の上で取りうる市場の大きさ。この領域は日本で年1,200億円前後という推定。
TOPIC 2
日本は「電子化」まで来て、そこで止まっている
点線の枠が空いている場所。制度の下地はIT重説の全面解禁で2021年に整っている。
TOPIC 3
AIが買い物をしたら、報酬は誰のものか
点線の枠が壊れた前提。配分のルールごと作り直しになる。
日本にはもう一つ事情がある。楽天・Amazon・Yahoo!といったモールへの依存度が世界的に見ても高く、事業者はモール内検索を攻略するノウハウを積んできた。それはモールの外でAIが推薦する導線にはまったく効かない。既存のSEO顧客をそのまま横に展開できるので、参入は3つの中でいちばん軽い。推定TAMは350億円前後だ。
AEO / GEO = AIの答えの中に自社を載せるための工夫。検索順位ではなく「生成された文章のどこに出るか」を狙う。
TOPIC 4
昼に捨てて、夕方に足りない
山と谷が同じ日にある。運ぶ道具が電池で、運ぶ理由は市場が用意してくれている。
いま日本で家庭用蓄電池を買うと、補助金を前提にしても150万〜200万円になる。しかも買ったあと、その電池が毎月いくら稼いでくれるのかを誰も説明してくれない。「電池を置くと毎月いくら戻ってきます」と数字で言い切る消費者向けの商品が、きれいに空白のまま残っている。
そして顧客リストはすでに存在する。買取期間が順次終了する卒FIT世帯だ。パネルを持ち、余剰電力の売り先を探している家庭が毎年積み上がっていて、その名簿は電力会社と施工店の手元にある。
TOPIC 5
AIの利用料の内訳を出せる会社が、まだない
先に必要なのは道具ではなく内訳。削った金額が見えるので、成果報酬で入っていける。
YCの直近バッチからは2社が刺さる。建築図面をAIが読んで建築コードや条例への適合を事前にチェックするもの(2025年4月に4号特例が縮小され、審査工数が急増した日本にちょうど合う)と、AIで作り直した商業保険ブローカー(日本の損保代理店は約15万店で、高齢化と統廃合が進んでいる)だ。
ロールアップ = 同じ業種の小さな会社をいくつも買って、一つにまとめて効率を上げるやり方。